春一番、吹きまくる

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「何で…」 「だって、あんな可愛いの…付けてて無くしたら…ショックですから…」 これは本当よ?結構可愛いネックレスだし… でも吉沢は不満そうに唸った。 「無くしてもいいから付けておけよ…なんの為にやったか分かんねぇだろ…」 いや、むしろなんでくれたのかが分からないけど… 吉沢が低い声で付けて来いと呟いたから、とりあえず逆らわずに慌てて部屋へ戻ったのだった…。 やっぱりというか、自分の事で頭がいっぱいだったせいで忘れてたけど、校門に近づくにつれて私は周りの視線に耐えられなくなってきた。お面を被って来れば良かった… 吉沢と別れた後、下駄箱をあければ、こっちも忘れてたけど、砂、第二段が上履きを襲っていた。しかも今回は『身の程を知れバカ』という手紙付き。 最悪だわ… ラブレターについては釈明できるけど、今の吉沢との関係はまさにこの犯人が望まない状況になってしまった…吉沢に話すか……でもなぁ…まだ吉沢が本気か嘘か分からない今、吉沢に助けを求めるのは…… とりあえず砂を払うと靴も持って教室へと向かった。 「おはよう~香緒~」 教室へ入ると春がこちらに向かって手を振った。 「おはよう春…第二段来たよ…」 苦笑いしながら告げれば春は頬を膨らませて「最悪~」と怒り出した。とりあえず席につくと春もやってきてのりちゃんの席に座る。 「山田君は?」 「悟?知らなぁい。さっきまでいたけどトイレじゃないのぉ?…て、それより~、昨日何があったの?」 「う~ん…付き合いを前提に付き合う事になった…」 「なにそれ~どういう事?」 「友達以上、恋人未満で付き合ってみて、ダメなら言ってくれって言われた…」 「じゃぁ先輩は本気って事?」 目を丸くする春に「分からない」と告げると私は机にゴツっと頭を乗せた。 「だって、好きになる理由がないじゃない出会って2日よ?しかもその最初2日間なんてまともに話てもないし…第一、私、一目惚れされるような顔してないし…」 「確かに香緒は地味かもしんないけどぉ、私は香緒好きだよぉ!」 ヨシヨシと春は慰めるように頭を撫でて来る。 そういえば、春も1日目から自棄になついて来てたわね… 「春は私のどこが好きなわけ?」 ふと顔を上げると春はニコリと笑いながら言った。 「香緒は他の子と違ったからぁ~」 腐女子がにじみ出てたってことかしら…?
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