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軽く首を傾げると
「ん~とぉ、最初に香緒に話かけた時は興味本意だったけど~香緒は初対面で男だって分かっても可愛いって言ってくれたから嬉しかったんだよ♪こんな格好してるとね~、みんな可愛いって言ってはくれるけどどっか珍しい物見るような目するからさぁ…」
そう言うと春も机に頭を乗せて目線を合わせて来た。
聞いておいて何だけど…恥ずかしいわ…
「だからぁ、いくら香緒が地味でもなんでも、好きになるのはそんな単純な事だったりするんだよ~?それかぁ、実は先輩が地味趣味なのかもぉ~」
冗談っぽく笑う春に「もぅ…」と呟いた瞬間
「で、香緒ちゃんはそんな悩むって事は、吉沢先輩の事気になるって事?」
「わぁっ!」
耳元で声がして体を起こすとそこには嬉しそうに笑うのりちゃんがいた。
「おはよう香緒ちゃん」
「のりちゃん…」
「やだぁ、のりちゃんいつから聞いてたのぉ?」
「結構前からいたよ。香緒ちゃんが何で好きなのか分からないってあたりから…かな?」
「え~気づかなかった~」
いや、何であんたが気づかないのよ…ずっとこっち見てたじゃない。
「のりちゃん、忍者なんじゃないの~?」
「アハハ…さすがに忍者じゃないんだけど…」
苦笑いを浮かべるのりちゃんは机の横にしゃがみこんだ。
「それで、香緒ちゃんは先輩の事気になるの?」
「そんなのまだ分かんない…だって怖いし、睨むし、舌打ちするし…」
「でもぉ、香緒は死ぬほど吉沢先輩の事嫌いじゃないんだよねぇ?」
そうなのよねぇ、怖くて神経使うけど、嫌いになりきれない自分がいるから困るのよ…
「香緒ちゃん、もう少し吉沢先輩を見てみたら?噂とか見た目とか気にしないで、一から見てみるの…確かに先輩、見た目は怖いけど…。香緒ちゃん、今日も一緒に学校来たんでしょ?」
「あ、そうなの?」
「うん…うちまで迎えにきてもらった…でも何で知ってるの?」
「えっと…実は一緒に歩いてるとこ見て…でも、うちまでって香緒ちゃんちと先輩のうちって近いの?」
「先輩のうちは分かんないけど…乗る駅は一緒だったし…近いんじゃないのかしら…」
「香緒の家ってどこなのぉ?」
「S街だけど…」
「え!めちゃ遠いじゃん…」
「それで…先輩と乗る駅が一緒だったの??」
のりちゃんは何故か目を丸くして驚いていた。私は首を傾げながらも頷く。
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