春一番、吹きまくる

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学校が終わってから私は春によって未知の領域へと引っ張っていかれた。洋服の店… 私はもっぱら『しま○ら』通いなわけで… 「香緒はどんな服が好き?」 と春に聞かれても何と答えていいやら… 「似合って…安ければ…」 「香緒…大雑把すぎるよ…」 春に呆れたように呟かれても何とも言い返せなかった。 翌日、私は春の家にいた。 「春のおうち大きいね…」 春に連れていかれたのはテレビに出てきそうな豪邸。洋式な構えで入口の門から家まで確実100Mはありそう。だって、庭に噴水があるとかおかしいじゃない。 「うん、うち実はお金持ちなの~♪」 そんな呑気な声と共に門が開く。庭にはドーベルマンが走り回っていた。 「ドーベルマン!」 「良く知ってるねぇ、あれはサブロー」 庭を突き進みながらの説明。 ヨーロピアンな庭にいるドーベルマンにサブローはどうだろう… 玄関を潜ると高そうな絵画やツボがビッシリ!床は赤絨毯… バカ広いリビングにはシャンデリア。綺麗なソファーの上には 「シャム猫!」 「当たり~♪ジローだよぉ」 「…ねぇ、誰が名前つけたの?」 「サブローが私、ジローは母親~」 「あ、そぅ…」 「私の部屋ここ♪」 ようやく辿りついた春の部屋は、なんていうか…ピンク。カーテンも絨毯もベッドも小物もピンク。ぬいぐるみもいっぱい。そこらの女の子よりも女の子らしい部屋だわ… お邪魔します、と入っていくと 「え、何これ…」 「ゼニガメのタロー」 ベッドの横に四角いケース。中には小さな茶色い亀。 あぁお前が一番名前と見た目が合ってるわ…でもこの家にはとても不釣り合いね… 「さ、着替えて!」 「え?」 昨日買った服を一式渡されて「早く~」と急かされたけど… 「春…見てる気?」 「……?あ!そっかぁごめんねぇ!香緒は女の子だったぁ♪私、ジュース持ってくるからぁ、着替えてて~」 春はそう言うと部屋から出ていった。 あの子…私を女としてみてないって事かしら…それはそれでショック… 渡された服を広げる。 あれよあれよというまに買ったから、自分でも何を買ったか分からないのよね… とりあえず上から着替えていく。 薄い水色の七分丈のカットソーに、袖にフリルのついたベージュっぽいボレロ…下は… 「スカート短い!なにこれ!」 黒いミニのバルーンスカート…膝たけより上のスカートなんて履いた事ないのに!!
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