春一番、吹きまくる

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ポッブコーンは二人の間に置いてあったのに、私がポッブコーン側の手を占領していたせいで、相当食べにくかったんだろう… 「す…すみません…」 「いいけど、後でからかわれた分とまとめて礼してもらうし」 「う…」 吉沢はそう言うと私の手を取り直して歩き出す。 さっきまで自分からしがみついてて何だけど、あらためて時間を置いて手を持たれると恥ずかしい… それから少し遅めの昼食を取って(やっぱり吉沢持ち)隣接するデパートへ向かった。 困るわ…デパートなんておいしい物食べに行くしかしないのに…今までの流れから行くと絶対聞かれるじゃない… 「何か見たいのあるか?」 ってぇ…服も種類が多すぎて、しかも高いからあんまり興味ないのよ… 「先輩は?服とか…見ないんですか?」 「俺か?まぁ…見るっちゃ見るけど…俺が見てる間暇だろ」 「いいえ!全然!むしろ先輩の買い物しましょう!ホラっ先輩はカッコイイからこういうのとか似合いそうですよね!」 この状況を脱出するために近くにあったサングラスを手にとって吉沢に合わせてみた。すると吉沢は顔を微妙に赤くして「そうか…」と呟く。 吉沢は、人前で平気で手をつないだり口塞ぐとかいうくせに…照れる場面がイマイチ分からない… それからは吉沢が見たいといったジャケットとか靴とか見て回って、いちいち似合うか聞かれたけど、基本的に顔もスタイルもいい吉沢は何を着ても似合っていた。私が「似合います」しか言わないからか、吉沢は終いには不機嫌そうな顔して「本当にそう思ってんのか」とか「面倒なのかよ」とか言ってくるから焦ってしまう。いつもは強引に事を進めるくせに、こんな時ばっかり深読みするのは止めてほしいわ! 何とか吉沢を納得させて買い物をしていると、ふとアクセサリーショップが目に入った。 「先輩、ちょっと待っててください」 「は?」 私は先輩が服選びをしている間にそのアクセサリーショップへ。
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