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だけど銀髪男から発せられた言葉は予想とは違って…
「大丈夫か」
―え…今何て言ったのかしら…
「オイ、大丈夫か」
あまりにも予想外の言葉を発して来るから思わず固まってしまった。そんな私の様子にいぶかしげな顔をすると、さらに怪我したのかとか聞いてくるから更に困惑してしまう。
「け…怪我はしてない…です…」
思わず語尾が小さくなってしまった…情けない…
「そうか、悪かったな」
ぶっきらぼうな言いぐさで手を伸ばした銀髪男に体が竦む。ソレをみた銀髪男が小さく舌打ちしたのが聞こえて私は更に身を固くする。
―わ、私、何か気に障るような事した?!この手はやっぱりお金寄越せって事!?
グルグルと考えていると銀髪男が私の腕を持って無理矢理立たせた。
いきなりの事で体がついていかずよろめいて銀髪男にすがりついてしまった。
「ごめんなさい!ぁ、すみません!!申し訳ないです!ごめんくださぃぃぃ!!!!」
慌てて離れようと思いつく限りの謝罪を述べながら自力で立とうとするけどどうやら腰が抜けたらしい…どれだけチキンなのよ私…
銀髪男は私の状況をどう思ったのか足の方を見て右の眉毛をピクリとつりあげ更に険しい顔になった。
―ひぇぇえ~…(泣)殺される!
「足…痛いのか」
「へ!?」
「足…怪我してるぞ」
言われるまま足元を見れば転んだ拍子に擦りむいたのか、ツツっと血が垂れていた。
「や、痛くないです!大丈夫です!!」
もう駄目だ!そう思ってしがみついていた手を放したらものの見事に尻餅をついた。
「血が出てるけど」
血!血がなんだ!!隣の激細眉毛は私の膝なんか目じゃないほど鼻から血出してるじゃないか!!
尻餅をついた私の前にもう一度しゃがみこんだ銀髪男はおもむろにポケットに手を突っ込んでクシャクシャになった可愛い最近流行りのクマの絵のついたハンカチを取り出して私の足にまきはじめた。
ちょっとそのハンカチ綺麗なの?とか何よそのミスマッチな柄とかは聞ける筈もない…とりあえず怪我を治療してもらっているっていう事は有り難い事にパニックになったチキン頭でも理解してくれたようで、
「ありがとう…ございます…」
という言葉は出てくれた。ソレを聞いた銀髪男はコクッと一度頷くとスッと手を出して来た。
今度こそお金かしら…と思った矢先に「立てるか?」と聞かれ、今度は素直に手を取った。
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