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その子は栗色の長いフワフワな毛で、目もクリクリと可愛かった。小柄で色白でまさに背後にお花が飛んでいそうな…儚いというイメージがピッタリな美女。…ただ、足はおおっぴろげちゃってるけど………
こっち向いて座ったって事は私に用があると思うんだけど、その子はそのクリクリの大きな目でジッと私を観察してるだけだった。
美人に見られるのは照れる…
「ねぇ、吉沢先輩の身内?」
唐突に発せられた言葉に思わず首をかしげた。吉沢って誰…
「私の身内に吉沢っていう名字はいないけど…」
「え~、じゃぁもしかして彼女~??」
「え…ごめん、話が分からないんだけど…誰かと勘違いしてない?」
「こんな地味な子が隣にいたんじゃ逆に見間違えないわ!校門入って来てからあなたの事ずっと見てたもん!」
―何この子…地味な子って喧嘩売ってんのかしら…
自棄に物事をハッキリいう子に思わず眉をしかめると、「だから~…」と間延びした口調でこう言われた。「登校した時に一緒にいた吉沢先輩との関係教えてっていってるの~」と………つまり、あの銀髪男は吉沢というらしい。しかも新入生でも名前を知っているほどの有名人らしく、目の前の美人と地味な私の会話をクラス中が盗み聞きしていた。
もしかしなくても、教室に入った瞬間のあの沈黙は奇異な目でもなく、あの男のせいって事…
「関係って言われても、成り行きっていうか、知り合いでもないの…名前…えっと吉沢先輩ってのも今知ったし…」
それだけいうと目の前の美人は目を丸くしながらどういう事?と興味津々で聞いてくる。
「浩輝、そんなせっついて困ってるよ」
「あ、悟(さとる)」
目の前の美人の背後から現れたのは長身の男子。めっちゃ美形…日本男児って感じで短髪黒髪、切れ長の目が印象的。
何よこのクラス…美形の溜まり場!!?
……………そこでふと疑問。
コウキ…?コウキさんって名字なの?珍しい…
「ごめんな、浩輝は昔からこんなで…浩輝も先に自己紹介しろよ」
美形男子はコウキさんの頭を軽く叩いた。
「はいはい。私は春野浩輝(ハルノコウキ)」
「俺は山田悟、浩輝とは中学からの付き合いで……って聞いてるか?」
ハルノコウキ…ハルノが名字??ん????
私は混乱した頭で目の前の美人の胸をギュッと握った。
「いやん☆」
「無いし!!!!!」
私は思わず大声で叫んでいた。
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