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朝、目覚めた美穂に声をかける者はいなかった…
美穂は台所へ行き、食パンをトースターにかけ窓から見える濁った朝を眺めていた。
母が毎日忙しくしているので、美穂は学校へ行くようになっていた。
冬の濁った朝、
灰色に潰れた昼、
どこまでも冷めきった夜。
美穂は渇いた唇がくっついて、開かなくなっても気が付かなかった…
学校が終わり美穂が帰る場所は、真っ暗に聳え立つ大きな家だった。昼間は誰かがいたのだろう…開きっぱなしの窓から、知らない猫が美穂を覗いていた。
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