158人が本棚に入れています
本棚に追加
幼い子を扱うような男の人の態度にさらに苛立ちが募る。
あぁ、朝からなんか嫌な感じだなぁ。まぁ、運んでくれたから良いけど。
男の人は改札を出て、側の柱付近にキャリーケースを丁寧に置いた。
凛明はキャリーケースの男の人とは逆側に回る。
「ありがとうございました」
凛明は頭を下げた。これで難関は越えた。
「どういたしまして。家近いの? 一人で大丈夫?」
はい? この人、どういうつもりなの? もし、駄目だって言ったら、運ぶつもり? 下心? 優しさ? ただの馬鹿?
「いえ、彼氏が迎えに来ますから。今、向かってるそうです」
凛明は少し強めに言った。彼氏がいる女に、男はそれ以上入り込まない。そう言うものだ。
男の人は何か納得したように頷いて笑った。
「そっか、それは良かった」
そして、売店に向かう。
最初のコメントを投稿しよう!