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(だから惚れたんだろうか)
彼女がいれてくれた紅茶を一口啜る。
「ね、他の過ごしかたは?」
いきなり問うと、彼女はきょとんとしてしまった。
それがおかしくて笑いそうになったが、なんとか堪え、
「他にどうやって過ごしたい?」
彼女がいれてくれた紅茶が思ったより美味しくて、もう一口啜ったあと、カップを皿の上に置いた。
「他に、ねえ…」
目線を忙しく動かし、少し目を細め考える。
(これが、彼女がなにかを考えるときの癖)
目線が、僕を真っすぐ捕らえた。
「貴方と一緒なら、」
そこで言葉を切って、優しく微笑んだ。
僕は追究するのかと思ってたけど、口は閉じたまま。
納得したのかもしれない。
共感したのかもしれない。
「ああ、」
窓から入るオレンジに目を細め、なぜか安心した僕も笑い、最後の一口を啜った。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
(言葉を交わしてなくたって。)
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