初依頼

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 子供の首を掴み、思い切りぶん投げる。お~、面白いくらい飛ぶな。 「アニー、壁に縫いつけちまえ」  アニーがホルスターから銃を抜き放ち、精密射撃。  リベットと呼ばれる鋲を打ち出す銃で殺傷能力は低い。 「さすがは銃の女神!凄いやアニー!」 「…まったく、子供になんてことを」  アニーの放ったリベットは子供の輪郭ギリギリを撃ち抜き、怪我一つ負ってない。文字通り壁に縫いつけたのだ。 「さて、これで少しは静かになったな。おいお前…どういうことか説明しな」  事の成り行きを見て逃げ出そうしていた男を呼び止める。 「お、俺が悪いんじゃないぞ!そのガキが俺の食い物盗むから…」 「なんだよ!元々盗んだ物だろ!!」  こいつら、もしかして…。 「お前ら、スラムの人間か…」 「なっ…ち、違うぞ!」 「そうだ!悪いか!?」  やっぱりな…まぁこれでドアの修理代は見込めない。 「うるせぇよ…怒鳴るなや。別にスラムの人間だろうが何だろうが、差別する気は無ぇ。とりあえず、詳しく話せ」 「この状況でか!」  縫いつけられた子供が、喚く。だからうるせぇって…。 「アニー、リベット抜いてやれ。ガキ、暴れんなよ」 「ごめんね。恐かったでしょ?動いちゃ駄目よ」  リベットを抜いていくアニーを眺めソファーに寝転がる。男の治療をしてやろうとも思ったが、命に別状無いし野郎の手当てなんかしたくない。 「まずは名前」 「…ラッドだ」 「ビンス」  男はラッドと名乗り、子供はビンスと名乗った。 「あっそ…この際お前らのこたぁどうでもいい、問題はドアだ。安物だが、スラムの人間にゃ払えねぇだろ?」 「た、確かに金はない。だが情報ならある」  ラッドが取り繕う。ビンスは関係無いといった感じで事務所内を見回している。盗む物でも物色してんのか? 「ビンス君、何か飲む?ミルクくらいしか無いけど」 「…う、うん」  どうやら、違うらしいな。ビンスの奴アニーに話しかけられて照れてやがる。可愛いもんだ。 「情報ってどんなのだ?」  ビンスはアニーに任せて大丈夫だろう。異常に子供好きだし。 「色々だ。そこら辺の噂話からヤバいのまでな」 「俺の役に立ちそうな情報はあるか?場合によっちゃそれでもいいぜ」  ラッドが記憶の引き出しで情報を探していると、アニーがミルクを持ってきた。 「はい。ホットミルクにしたから火傷しないようにね」 「ありがと…」
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