14人が本棚に入れています
本棚に追加
「ガルシア一人で行ってきて。私はビンス君と遊んでるから。ビンス君もそれがいいよね~?」
「え、いや……うん」
やれやれ。仕方ねぇ、一人で行くか。留守番も必要だよな。万が一にでも依頼が飛び込んでくるかもしれないし。
溜め息を吐きつつ、ラッドの書いたメモをズボンのポケットに入れる。
次に俺の机の上に置いてあった二振りの刀の一本を腰に装備、コートを羽織りもう一本を背中に装着し準備完了。
「ちょっと行ってくらぁ。あ、そうだ」
ビンスの頭を撫でていたアニーに近づき、一言。
「行ってきますのチュー」
「手が滑ったわ」
ホルスターから銃を引き抜き、遠慮無しに俺に向けて引き金を引いた。
「あぶっ、危ねぇな!!当たったらどうすんだ!!!」
頬を弾丸に掠められ血が滲む。
「だから手が滑ったって言ったでしょ。悪かったわね」
「手が滑ったって言ってから撃ったろ!?確信犯じゃねぇか!!」
「気のせいよ。ほら、早く行ったら?」
こ、こいつ…悪びれる様子も無く言いやがった。
「行ってきます!!」
あ~ぁ、冗談が通じない奴ってのは嫌だね、ホント!
「ここか…」
ラッドのメモにあった場所のうち、まずは自称帝王に会いに来た。
「スラムにしちゃデカイけど……ボロいなぁ」
三階建ての建物だが全体的に汚くて所々崩れ、内部が見えてる。まぁ、スラムにある建物なんてどれもこんなもんか。
「失礼するよ。帝王様はいるかい?」
「んだぁ!?てめぇは!」
小汚ない扉を開け、室内に入るなり数人の男達に囲まれた。
「あ~、俺はガルシアって者で何でも屋をやってる。今日はちょっとヤボ用でね、スラムの帝王様に会いたいんだけど」
「あの人は、てめぇみたいな怪しい奴には会わねぇ。帰りな」
怪しいって……お前らに言われたくないよ。
「そんなこと言わずに頼むよ。ラッドに紹介されて来たんだけど」
「うるせぇ!グダグダ言ってっとブッ殺すぞ」
やっぱスラムは物騒だな。頭が足りない可哀想な奴らの吹き溜まりだ。
「まぁまぁ。縛ってでもいいから会わせてくれって。こっちは明日にでも金が底を突くんだ」
「いいから出ていきやがれ!」
腕を掴もうとしてきた男の腕を逆に俺が取り、関節を極めてやる。
「痛ててててて!!」
「乱暴は無しにしようぜ。俺は話がしたいだけなんだ」
腕を放し蹴り飛ばす。男は無様に倒れ込む。
「て、てめぇ!!」
最初のコメントを投稿しよう!