初依頼

5/20
前へ
/38ページ
次へ
「ガルシア一人で行ってきて。私はビンス君と遊んでるから。ビンス君もそれがいいよね~?」 「え、いや……うん」  やれやれ。仕方ねぇ、一人で行くか。留守番も必要だよな。万が一にでも依頼が飛び込んでくるかもしれないし。  溜め息を吐きつつ、ラッドの書いたメモをズボンのポケットに入れる。  次に俺の机の上に置いてあった二振りの刀の一本を腰に装備、コートを羽織りもう一本を背中に装着し準備完了。 「ちょっと行ってくらぁ。あ、そうだ」  ビンスの頭を撫でていたアニーに近づき、一言。 「行ってきますのチュー」 「手が滑ったわ」  ホルスターから銃を引き抜き、遠慮無しに俺に向けて引き金を引いた。 「あぶっ、危ねぇな!!当たったらどうすんだ!!!」  頬を弾丸に掠められ血が滲む。 「だから手が滑ったって言ったでしょ。悪かったわね」 「手が滑ったって言ってから撃ったろ!?確信犯じゃねぇか!!」 「気のせいよ。ほら、早く行ったら?」  こ、こいつ…悪びれる様子も無く言いやがった。 「行ってきます!!」  あ~ぁ、冗談が通じない奴ってのは嫌だね、ホント! 「ここか…」  ラッドのメモにあった場所のうち、まずは自称帝王に会いに来た。 「スラムにしちゃデカイけど……ボロいなぁ」  三階建ての建物だが全体的に汚くて所々崩れ、内部が見えてる。まぁ、スラムにある建物なんてどれもこんなもんか。 「失礼するよ。帝王様はいるかい?」 「んだぁ!?てめぇは!」  小汚ない扉を開け、室内に入るなり数人の男達に囲まれた。 「あ~、俺はガルシアって者で何でも屋をやってる。今日はちょっとヤボ用でね、スラムの帝王様に会いたいんだけど」 「あの人は、てめぇみたいな怪しい奴には会わねぇ。帰りな」  怪しいって……お前らに言われたくないよ。 「そんなこと言わずに頼むよ。ラッドに紹介されて来たんだけど」 「うるせぇ!グダグダ言ってっとブッ殺すぞ」  やっぱスラムは物騒だな。頭が足りない可哀想な奴らの吹き溜まりだ。 「まぁまぁ。縛ってでもいいから会わせてくれって。こっちは明日にでも金が底を突くんだ」 「いいから出ていきやがれ!」  腕を掴もうとしてきた男の腕を逆に俺が取り、関節を極めてやる。 「痛ててててて!!」 「乱暴は無しにしようぜ。俺は話がしたいだけなんだ」  腕を放し蹴り飛ばす。男は無様に倒れ込む。 「て、てめぇ!!」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加