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いつのまにか、世界は動き始めていた。
「僕たちは、大切な人を失いました」
スーツ姿の男が、外の景色を見ながら言った。
青く広い空に、雲がゆっくりと流れている。
その空の下に、多くの人間が生きている。
痛みや苦しみを抱えながら、生きている。
「世界は残酷ですね。
生き残った者は、その最期の瞬間まで、一生懸命生きていかなければいけないんですよね」
二人は喫茶店を出て、それぞれの道を歩いていった。
青く広い空の下、
彼らの心に降り続いていた雨は、止んだ。
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