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そして翌朝…
幸村と秀頼は萩城に辿り着いた。
幸村は城の門番に話し掛けた。
『毛利輝元公にお会いしたい。』
『ん?誰だ?オマエ達は?』
門番は幸村達を不審に思いながら答えた。
幸村はニヤリと笑い…
『真田安房守幸村が来たと伝えろ。』
『さ、真田安房守!?』
門番は驚愕の面持ちで腰を抜かしながら、本丸目掛け走って行った。
しばらくして家老風の男が家来を引き連れ現れた。
『どうぞ…殿がお会いになるそうです。』
幸村と秀頼は城内へ通された。
長い長い坂を越え、本丸へ…
また長い廊下を越え謁見の間へ…
二人は毛利輝元の面前に辿り着いた。
『お久しゅう御座りまする。』
幸村は深々と頭を下げていた。
が秀頼は堂々たる態度で輝元を見据えていた。
『真田殿、貴殿の隣の男は何故ゆえに頭を下げぬのか?』
輝元はニヤリとしながら問い正した。
すると秀頼は…
『頭を下げぬだと?この無礼者が!!落ちぶれたとは言え、以前の主君に頭を下げろとは貴様の方こそ、頭を下げよ!!』
秀頼は二十三の少年とは思われぬ毅然とした態度で怒鳴った。
すると輝元は大声で笑い出した。
そして、深々と頭を下げ…
『秀頼様…お久しゅう御座りまする。生きて、生きておられたのですか。』
輝元は上座から降り、秀頼の傍で泣き崩れた。
『これ、輝元!泣くでない。』
『は、ハハアぁ~』
『それより、ワシと幸村は薩摩を目指して旅をしている。門司港へ行く通行手形をくれぬか?』
輝元は…
『まぁまぁ、その件は少しお待ち下さい。おい!オマエ達は退がれ』
輝元は家来を退がらせ、幸村と秀頼に向かって話を始めた。
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