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高虎は猛々しく吠え刀を左近へ振り降ろした…
左近は愛刀墨炎でソレを受け…
そのやり取りが幾度も続いた。
すると高虎の態勢が一瞬ひるんだ…
左近がその隙を見逃す分けも無く…
墨炎を高虎の、のど元目掛け切り付けた。
高虎は死を覚悟した…
すると…
凄まじい閃光が左近の墨炎を弾き、高虎を救った。
左近はのけぞりながらも新たなる敵を見据え身構えた。
『家康公の命により、高虎殿をお救いするべく、助太刀に参った!』
謎の若武者はそう叫んだ。
左近は驚き…
『本多平八!死んだハズでは!?いや、あんなに若いハズは無い。』
『コレはコレは関ヶ原の英雄、島左近殿、お目にかかれて光栄で御座る。おぉ、後藤又兵衛殿に鍋島勝茂殿、島津家久殿まで…ハッハッハ、これは愉快。手前、本多平八郎忠勝の長男、本多平八郎忠政に御座る。以後お見知りおきを』
何と高虎の命を救ったのは武神、本多平八郎忠勝の長男、本多忠政であった。
その忠政のいでたちは…
亡き忠勝愛用の蜻蛉切りを持ち、大鹿の兜に黒塗りの甲冑に身を包み、首にかけた数珠もさることながら、まさに本多平八郎忠勝の若き頃に生き写しだった。
左近が間違えるのも無理は無い。
『ここを通す分けには参らん!』
又兵衛は忠政に槍を向けた。
『確かに貴方方は稀代の名将…だが四人一辺に相手にしたとしても…それがしは貴方方を倒す事が出来る。』
と自身満々に忠政は言い放った。
左近は又兵衛を制止し…
『忠政ぁ、高虎ぁ、行くがよい。』
忠政はにっこり笑い左近に一礼し、高虎を伴い引き上げて行った。
忠政は攻城中の豊臣軍も蹴散らし、威風堂々と姫路城へ帰還した。
又兵衛は左近の意図を理解した。
四人で戦ったとしても、確実に二、三人はやられるだろうと言う事を…
左近達は兵をまとめて再び、姫路城へ進軍した。
その頃、姫路城へ帰還した忠政は総大将、松平忠輝を筆頭に藤堂高虎、井伊直孝らの諸将と軍儀を行っていた。
『家康公からの命により、松平忠輝殿を総大将から外し、藤堂高虎殿を総大将に据え戦い臨めとの事で御座る。』
忠輝は納得行かないが家康からの命に不服無しとし、高虎に総大将を譲った。
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