1章 1日の始まり

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「う~……朝、か~」 裕二はケータイのアラームの音で目を覚ます。 「おっはよ~裕ちゃ~ん」 「うわっ」 さっき起きたばかりなのに、茶色の弾丸にベッドに押し倒された。 「はぁ、どけてくださいよ佳奈恵さん」 「え~、やだ~、それにお母さんだよっ」 裕二に突撃した張本人、頬を膨らませているのは“神谷佳奈恵(カミタニカナエ)”裕二の母親なのだが 「♪~♪~」 胸に顔を擦りつける仕種や、かわいらしい容姿のせいで全くそう見えない。 だが35歳を越えた今でもその美貌やスタイルは衰えず、人気絶頂とはいえないがモデル業を続けているのだから驚きだ。 「その、早くどけてくれませんか?」 佳奈恵の大きな胸が、裕二のお腹辺りで激しく自己主張するので裕二は顔が真っ赤だ。 「う~ん?裕ちゃん照れてるの~?かわいいよ~」 更に強く抱きしめられてしまう裕二。 佳奈恵の長い茶髪が首に触れるのが少しくすぐったい。 「やっ、やめてくださいっ、恥ずかしいですよ!!」 元々真っ赤になっていた裕二の顔は更に赤く染まり、どんどん頬が熱くなる。 「えへへ~気持ちよかったよ~」 しばらくして満足したのか、裕二を離して余韻に浸っている佳奈恵。 裕二はため息をついてから立ち上がり 「それじゃあ二人を起こしてから下りますね」 「は~い。じゃあお母さんは先に下りて準備してるね~」 裕二と佳奈恵はそう言って、部屋の前で別れた。
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