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暫らく歩いていくと、真っ黒な空間に似合わない、真っ白な扉が一枚だけ置かれていた。
本当に一枚だけ立っている。
壁もなければ、支えも無い。
どうやって立っているのか謎だ。
『開けて下さい』
後ろに立っていたムニに促され、ジンはドアノブに手を掛ける。
そして軽く突き飛ばす様に、扉を開けた。
途端、隙間から物凄い光が漏れ、ジンは片手で顔を覆う。
扉を完全に開け、目を細めながら前に進んでいく。
漸く慣れて来た目に入ってきたのは、人が行き来をする大きな通りだった。
両脇には、真っ白な正方形の建物がズラリと並び、道の先には、柱の様な物が立っている。
「ここは、何処だ?」
『ここは『天界』です』
『そうねぇ、お兄さんの世界で言ったら、『天国』って場所だね』
そう言われ、ジンは改めて自分が死んだ事を確認した。
『ほら、お兄さん!。ボーッとしてると置いてくよ!』
フギとムニは何時の間にか先を歩いていた。
ジンは慌てて二人の後を追う。
「聞きたいんだが、俺は何でこんな所に居るんだ?」
『え~と…、人間は生まれた時から罪を背負っていて、死んだ時にその罪を裁かれて、『天界』と『獄界』に…』
『貴方の生前の行ないを元に、『天界』に住まうべきか『獄界』に落とすべきかを判断します』
ぎこち無いフギの説明を見兼ね、ムニが代わりに説明をした。
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