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フギは唖然としながら口を開け、ムニの顔を無言で見る。
『姉さんは説明等は苦手ですからね』
『うぅ…。馬鹿にされてる気が…』
「いや、馬鹿にされてるぞ」
柱の前まで来て、それが建物だと言う事が解った。
「デカイなぁ、屋上が見えないぞ」
近くで見ると、より一層巨大に感じる。
建物と言うよりも、壁に近い。
どうやら、人が住む為の物では無い様だ。
『御苦労』
声がしたので顔を前に向けると、純白のスーツに、背中に羽の生えた男が立っていた。
男はジンを見るなり、あからさまに嫌な顔をする。
『…この男が今日の『罪人』ですね?』
「ざっ、『罪人』って…」
ジンは少しムッとし、小さな声で文句を呟く。
『…やりなさい』
男が指をならすと、ジンの両脇に武装した天使が二人現われ、ジンを押し倒す。
ジンは驚いて抵抗したが、二人掛かりでは振り解けない。
「いきなり何だよ!」
地面に押し付けられた顔を無理矢理上げ、ジンは男を睨み付けた。
『お前の様な危険人物には、これ位当たり前だ。…連れていけ』
男の合図で、ジンは両手に手枷を付けられてから立たされる。
そして引き摺られる様に、奥の扉へと連れていかれた。
『チョット、どう言う事!』
フギはその場を後にしようとする男の前に立ち塞がり、指を突き付ける。
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