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「・・・でさぁ。
そん時なんてゆぅた思う?
ってオマエ聞いてんの!?」
「え…?
あッ、聞いてるで」
「ほんまか~?ほなええけど。
でな、その後な・・・・・」
実際、目の前に座って喋る
友人の話なんか
全く聞いていなかった。
それどころか
周りの音さえも
耳に入ってこなかった。
右ポケットの中で
震えた携帯。
そのサブディスプレイに
表示された名前。
跳ねる心臓。
咄嗟に元の場所へと
押し込んだ。
その行動に
意味なんてあるはずもなく
嫌でも右ポケットに
意識が集中してしまう。
もう一度、取り出してみる。
見慣れた自分の携帯から
視線が離せない。
周りの空間から
切り離されていく自分。
知らず知らずのうちに
君のことで
頭がいっぱいになる。
頭の中から君を消そうと
意識すればするほど
他のことが考えられなくなる。
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