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「愛さん、事情は良く分かりませんが、今の彼にきみの声は届かないでしょう。
何か誤解が有るようだ。
ここは、少し時間をおいて冷静になってから話し合った方がいい」
「…でも」
>その時だった
>横から、くぐもった音が振動を伴いしたかと思う間に、重く炸裂した!
突き抜けるような衝撃が襲った!!
ズミが愛を庇う形で吹き飛ばされたっ
>皆が薙ぎ払われ、ボーリングのピンのように宙を舞った
>爆発だった!
カルチャールームに隣接されていた官制管室が"木っ端みじん"となった!
衝撃は隣り合わせのこの部屋までを吹き飛ばしたのだ!
>爆発に紛れて、明が逃げ出したっ
「アキラッ!!」
「駄目だ、危ないっ。愛…さん………」
ズミの声がかすれる
「修行不足…だっ……」
「ズミさん!」
>崩れ落ちる。
ズミは彼女の肩に顔を埋めたまま気を失ってしまった
>床に座り込んだまま、互いを支えあっていたが、愛が手に生暖かい感触を覚え、彼の背中をのぞき見た
>背中一面に爆発で生じた破片が突き刺さっている
>爆発の衝撃がいかに強い物だったか思い知らされた
「ズミさんっ、しっかりして!!―どうしてこんなことに…」
>呆然としてしまう。床に広がってゆく大量の血
「…!」
>ズミのうめき声に、我に帰った。静かに床へ下ろした。
>(背中の血を止めないと!)
「どうしようっ、止まらない!」
>焦りは動揺を増し、どうしていいのか分からない
「このままだと助からない!!」
「あの時のように…」と脳裏に甦る事故の記憶
>あの日、バンカーライン試運転の日…
>バンカーライン製作スタッフ5名が選ばれていた
>「早苗」と名乗っていた愛と、機械工学の監修を担当した明
>データドライブ担当のイリスとバード
>後一人はジュゲムの代理で亜空間連結作業員のクリフだった
>彼等はあらかじめ設定していた座標での移動実験をしていたのだが、最後の作業中に不測の事故が起こり、何処とも分からない領域の氷のクレパスに落ちてしまった
>もちろん、非常事態には強制帰還のプログラムが組まれていた
>それが、仇となったのだが………。
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