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Bunkerline
>"愛"は、朝から嫌な予感がしていた
「やめとけば良かった」
>内心舌打ちしたくなる
>目の前に現れた知人のそっくりさんに「大丈夫ですか?」と話し掛けた
>うるさく鳴り響くペンダントの警告音を止めながら…
>現在”愛”と名乗る彼女は、日本人のごく平均的なOL姿、白のブラウスに紺のベストとタイトスカートを着ていた
>いつもなら、近未来都市に合わせ全天候型スーツを着用している
>これからオクターヴ3(スリー)に観光へ行く為、着替えていたのだ
>その、愛の目の前に転げ出て来た後ろ姿は、金色の肩に掛かる髪を後ろで一つ束ねていた
>動揺したのか装置に酔ったのか、顔を片手で押さえている
>その上げた顔を見て動揺したのは愛のほうだった
>白い肌に青い瞳…調った目鼻立ち…それは、彼女の哀しみを呼び起こす姿だった
>大天使にも見える風貌に、ロング丈でマオカラー(立ち衿)した竹色のコートを着ていた
「こっちに来て」
>静かに告げ、バンカーラインから出る
>混乱して機械を調整している機械技師の目を盗んで人気の無い通路に誘い出した
>知人似の大天使は何も聞かず、それに従い付いて行くのだった
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