Delete

4/14
前へ
/14ページ
次へ
改札を抜けて私達は別れた。 行ってらっしゃいとか何気ない会話を交して。 私は歩いて行く彼を見つめていた。 相変わらず携帯片手に歩いていく彼を。 見納めになるかもしれないその姿を。 私より少し高い背丈、あかるめに色を抜いた髪、広い背中……がに股に歩く足。 視線に気付いた彼が笑顔で手を振った。 「ねぇ、お花見に行こうよ。夜桜見に」 私は叫んだ。 緊張からか微かに震えながら。 最後の賭け、それはこの約束にある。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加