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改札を抜けて私達は別れた。
行ってらっしゃいとか何気ない会話を交して。
私は歩いて行く彼を見つめていた。
相変わらず携帯片手に歩いていく彼を。
見納めになるかもしれないその姿を。
私より少し高い背丈、あかるめに色を抜いた髪、広い背中……がに股に歩く足。
視線に気付いた彼が笑顔で手を振った。
「ねぇ、お花見に行こうよ。夜桜見に」
私は叫んだ。
緊張からか微かに震えながら。
最後の賭け、それはこの約束にある。
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