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全身に汗をかき、まるでフルマラソンを走って来たかの様な呼吸で顔を上げた。
「はぁ……はぁ……」
「小谷……さんですか? 」
操の発した言葉に動揺したのか、不思議な物を見るような目でこちらを見ていた。
「なっ何で私の名前を……そんな事どうでも良い!」
男は、ずれかけたジャンバーを着直し、いつもの冷たい目に切り替えた。
「貴方のお母さん、事情聴取の最中にトイレに行くと言い、突然姿を消したんだ」
小谷という男の発言は、とても信じ難い物だった。元々信じてなどいなかったが、より一層の疑心がこの人物に向けられた。
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