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幸平もそんな気持ちだろうと操は勝手ながら、決め付けていた。そしてその想いの丈を全て込めた様に重い口を開いた。
「あんたね……」
「とにかくだ」
操の想いの丈はこの男の突如発した言葉によって、脆くも崩れ去ってしまった。
「早く見つけださないとまずい……お前達二人は向こうに」
そう言うと小谷は今まで操達が向かっていた方向に指を差した。
「ちょっ……」
操の声が届く寸前に小谷の足音は、既に操達が向かう方向とは逆方向で鳴り響いていた。
幸平は操の肩を軽く叩いた。
「しょうがない、行くぞ操」
「あぁ……」
操は行き場の無い想いを胸にしまい込み、幸平と共に踏み出した。
晴れ渡る空は、今の操に嫌味掛かった笑みを見せた様に思えた。
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