死して尚断ち切れぬ鎖はいずこへと~3‐崩壊~

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ふと操の脳裏に一つの疑問が浮かぶ。なぜ母は嘘をついてまで事情聴取から抜け出したのだろう? 今まで共に過ごして来た操にもその意図は掴めなかった。 「俺の推理なんだが……」 まるで見当も付かない操には、幸平の発した言葉は天からの救いの様に思えた。 何度も頷く動作を見せ、期待の眼差しで見つめる操に幸平は自信なさ気な声を出した。 「多分……お前のおふくろさんは、警察に来る前にどこかに行く予定があって……」 「嘘ついてまで事情聴取抜けて行く予定……か? 」 操の素早い返しに幸平は言葉を詰まらせた。 「あぁ……そうだな。誰かの呼び出しとか」 呼び出しという単語を聞いた操の頭に真っ先に浮かんだのは、親父のパソコンの文だった。 死して尚断ち切れぬ鎖はいずこへと……あの文の意味は分からないが、メールが親父のパソコンに来たのは事実。親父に関係する何かが関わっている事、何かによって親父が殺されたとしたら……その飛び火は母親にも及ぶという可能性は否めない。 だが操の脳裏には以前からある事が引っ掛かっていた。
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