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「龍ちゃん……」
🍀幸せの探し方🍀
未華が机に俯いている。
目線は龍雅の方を見て何かを訴えかけている。
「何だよ…」
仕方なく声を掛けると未華は、そのままの格好でダルそうに口を開く。
「最近ね…不幸せなの…」
未華がそう言うと龍雅は訳が分からないといった様子で未華を見た。
「京都に行った光樹はお土産買ってきてくれなかったし…」
「新は、ジャンケンに勝ったからって自分の罰掃除押し付けるし…」
「お昼ご飯を約束していた紗弥ちゃんは急用が入ったって言って、どっか行っちゃうし…」
未華はしょんぼりと机に顔を伏せる。
龍雅にとっては、どれもこれも小さい不幸だ。
だが、いつも笑っている未華が塞ぎこんでいる姿を見るのは、どうも忍びない。
龍雅は小さく溜息を吐くと未華を呼び寄せた。
「未華、こっち来い」
未華は大好きな龍雅に名前を呼ばれ、すぐに振り向き身体を起こす。
小さく手招きをする龍雅を見て未華はゆっくりと龍雅の方へと歩いて近寄った。
傍に寄ると、ぽんぽんと龍雅の膝の間に座るように促されて歯向かう事なくその通りにした。
「未華」
後ろから抱きしめるようにして耳元で囁かれれば未華は、ほんのりと甘い感覚に浸る。
さらさらと細い髪を梳きながら撫でれば更に未華は大人しくなった。
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