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「は…はい!デートします!
でも……悠さん時間は大丈夫なんですか……?」
千佳はちょうど洗い物を終えたところで、布巾で塗れた手を拭き、振り返りながらそう尋ねてきた。
「時間は……今日は有希とも約束してるから、六時過ぎには家に着いておきたいな……。
だから……五時くらいまでは遊べるかな?」
明日は月曜日だし、有希にいつまでも起きておかせるわけにはいかないからな……。
もういっそのこと千佳も俺の家に住めばいいのに……。部屋なら何故か余ってるから……って、そんなわけにもいかないよな……。
「五時までなら……たくさん遊べますね……!私……行きたいところがいっぱいあるんです!」
「ん。それじゃあ、今日は時間ギリギリまでお前の行きたいところに付き合うよ」
千佳は、幸せを具現化させたような笑みを俺に見せてくれた。
それだけで満たされる。
出かけるならオシャレをしたいということで、千佳は軽く化粧を始めた。
でも、元々顔色も良く、唇も適度に赤く、睫も長い千佳にとっては化粧など余り意味もなく、二十分もかからなかった。
でも、馬鹿みたいにマスカラをつけたりするような奴じゃなくて良かった……。
もっとも、それは俺の好き嫌いの問題なんだけど。
千佳の準備が終わったことを確認し、俺たちは千佳の部屋から出て行き、腕を組みながら街の方に歩き出した。
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