冬の幻影

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  まるで青いガラスの欠片を敷き詰めたように…   不規則に煌めく波濤の中で    あなたの影が揺らめいてる      薄茶色の髪を冷たい潮風になびかせ…   その美しい瞳に   沖をゆく小さな船を映して…     冬の冷たい風にさらされて    凍えたあなたの細い指に   そっと指を重ねてみる     柔らかな弧を描いて   二羽のカモメが静かに波間をすりぬける          あなたの横顔が   優しい西陽の中で一層美しく輝いた時…       息を呑む僕の心の中から…   一瞬   全ての言葉が抜け出して   まばゆい光の中に溶けてゆく…     …ただひとつ             あなたを守りたい…     その一言だけをこの掌の中に残して…
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