黒井契は何もしない

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「鮫口さんにとって、自分を起こす人は排除すべき敵だな?」   まぁ鮫口絆の性格を考えるに、そう繋がってもおかしくはない、頷く。   「だからクロが鮫口さんを起こした所で、俺がクロを殴り飛ばす」   「待てい!!」   「そうするとほら、『私の敵を華麗に排除してくれた嵐山ねこくん、素敵』ってなるじゃん、完璧な作戦だろ?」   「本気でいってるのか?」   「勿論だ、俺のこの両腕は彼女のために使うのだ」   「幼稚園時代からの親友は?」   「む、知り合いの黒井契じゃないか、なになに?今から鮫口絆を起こしに行くって?気をつけろよ!」   「あっさりと売りやがった」   「行ってこーい!」   ねこは僕を片手でぶん投げた。   僕の体は空中を舞い、ちょうど鮫口絆の席の真ん前に着地した。器用なやつだ、その器用さを別の所で使ってくれ。   鮫口絆の顔が間近、といっても一メートルくらいは離れているが、に見る。   黒い長髪が彼女の白い肌を更に際立たせており、その寝顔は美しいの一言である。   先程まで自分がいた位置を見ると、ねこが早く起こして!とすんごい低姿勢で懇願していた。
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