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「なんだ、黒井君じゃないですか、止めて下さい、不機嫌です」
起きちゃったよ。起きなくて良いのに。ねこの方を見る。彼はどうやら宣言を守るようで、椅子から立ち上がり、こちらに近づいてくる所だった。
そんなものは見えてないのだろう。彼女からしたら、後ろの出来事だから仕方ないが。
「今の私は、大変に上機嫌なので特別に赦してあげますが。ところで、何のようです。答えて下さい」
どっちなんだよ、鮫口絆、一筋縄じゃいかねえな。そもそも、ねこじゃ攻略は無理だろ。あいつには猪突猛進な彼女が似合ってる。
鮫口の声は良く通る、その声はこちらに近づいてきていたねこにも聞こえたようだ。
彼は、自分の完璧な作戦が鮫口絆の気まぐれで崩壊したのを理解したのだろう、突然にこやかな顔で近づいてきた。
嵐山ねこ、馬鹿だが理解力が低い男ではない。
「お、お、お、おはやう鮫口さん」
演技力はないようだったが。
ねこにしてみれば精一杯の努力だったのだろう挨拶を、完璧に無視して鮫口絆は僕を追求する。
「早く答えて下さい、寝ますよ」
どうしよう、寝たら次は絶対起きないっていう脅しだよなぁ、コレ。私は寝ますよ。なんて脅し文句始めて聞いたよ。
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