31人が本棚に入れています
本棚に追加
僕が鮫口絆を起こした理由?そんなの、挨拶をしたまま固まってる筋肉のせいに決まってるんだけど。きっと正直言ったら怒るだろうし。
なにかテキトーなことを言っておこう。
「その枕の材質に興味があってね」
あれ?選択肢間違えたかな?趣味、寝ることの鮫口絆ならば、枕か夢の話題くらいならばノッてくるかと思ったのだが。
鮫口絆は大きな瞳を線のように細くしてこちらを見ている。その顔に題名をつけるならば『未知との遭遇』『研究対象発見』と言った所だろうか。
「ふーん、へぇ、成る程、珍しい、とても稀有だと言わざるを得ないわね、そう来るんだ」
なにやらぶつぶつと呟いている鮫口絆。
先程まで寝てたのに、と言うべきか、先程まで寝てたからと言うべきなのか、未だに鮫口絆の目はとろんと眠たそうに虚空をさ迷っている。
その若干無防備な表情が何とも言えず愛らしいのだが、それだけではある。
この状況からどうやって脱却したものかと思案している内に、鮫口絆はハッキリとした口調で告げた。
「黒井君、放課後少しつきあってもらえませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!