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冬の寒い風も、全知なる人間の化学の結晶たるガラスの窓で僕までは届かない。
それでも未練がましくガラス越しに冷気を送り込んできた所で、全能たる人類の欲望の集大成であるヒーターによって、その意味をなくされている。
つまり公立の中学校だった所で最近はヒーターがある程度には裕福で、校舎のガラスが割られない程度には治安が良いってことだ。
ついでに、昼休みだからといって教室の前後にある扉を閉めていかない馬鹿がいるせいで、ヒーターも完全には教室を掌握仕切れていないことも述べておこう。
寒いじゃん。僕以外の人は。
僕はヒーターの目の前の席を一月前の席替えで引き当てていたので扉を開けっ放しにされても、問題はない。
まぁ、逆に言えば開けっ放しにしてあると、僕くらいしかヒーターの恩恵には触れることが出来ないのだが。
いや、もう一人いた。僕の席から将棋の桂馬の動きをした先の席。有り得ないことに、その席の少女は自分の家からヒーターを持ってきていた。
彼女のお陰でこの教室にはヒーターが二個あり、他の教室よりも温かい。
でも、扉は閉めてくれ、僕は動く気はないぞ。
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