黒井契は何もしない

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そんな決意を新たにして自分さえよければ良いんだ、と思うことにした所で隣の席に長身の男が座った。   隣は、小動物みたいな可愛らしい女の子だったはずなのだが。   「よっ!契。筋トレしてるか?腹筋は鍛えておいて損はないぞ、全ての礎になる」   あぁ、教室の温度が一度くらいは上がった気がする。   熱苦しい。   「前の席は寒いから、僕と知り合いということに託けてヒーターに当たりに来たということか?サッカーでもしてろよ、子供は風邪の子だ」   「もしそうならサッカーせずに寝てた方がいいんじゃね?というか、幼稚園からの親友に知り合いとか言わんでくれよ」   嵐山ねこ。昔は身長も変わらず、普通の迷惑筋トレトレーナーだったのだが、今では180を超える長身のマッチョになっており熱苦しいにも程がある。   前にお前のどこがねこなんだと、そんな名前をつけた親の顔が見てみたいと言ったら。   「母さんは死んだ」   なんて言い出して、子供心に触れてはいけないことだったのか、と焦ったのだが話を聞いていくと、どうやら筋トレ中にバーベルが落ちてきて死んだという話らしく、笑う所なのか悲しむ所なのか分からずとりあえず、ねこの頭を叩いておいた思い出がある。
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