31人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
そんな決意を新たにして自分さえよければ良いんだ、と思うことにした所で隣の席に長身の男が座った。
隣は、小動物みたいな可愛らしい女の子だったはずなのだが。
「よっ!契。筋トレしてるか?腹筋は鍛えておいて損はないぞ、全ての礎になる」
あぁ、教室の温度が一度くらいは上がった気がする。
熱苦しい。
「前の席は寒いから、僕と知り合いということに託けてヒーターに当たりに来たということか?サッカーでもしてろよ、子供は風邪の子だ」
「もしそうならサッカーせずに寝てた方がいいんじゃね?というか、幼稚園からの親友に知り合いとか言わんでくれよ」
嵐山ねこ。昔は身長も変わらず、普通の迷惑筋トレトレーナーだったのだが、今では180を超える長身のマッチョになっており熱苦しいにも程がある。
前にお前のどこがねこなんだと、そんな名前をつけた親の顔が見てみたいと言ったら。
「母さんは死んだ」
なんて言い出して、子供心に触れてはいけないことだったのか、と焦ったのだが話を聞いていくと、どうやら筋トレ中にバーベルが落ちてきて死んだという話らしく、笑う所なのか悲しむ所なのか分からずとりあえず、ねこの頭を叩いておいた思い出がある。
最初のコメントを投稿しよう!