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そんな複雑な過去を持つ嵐山ねこだったが、本人はあまり気にしてはいないようだ。脳みそまで筋肉という言葉は、こいつのためにあるようなものだが、言っても本人は喜ぶだけだろうから言ってやらない。
「親友とまでは、いかなくても、友人くらいまでは格上げしてくれよ。もう不不不も百舌も絵里もいないんだしよ」
デカイ体の割には、小さいことにこだわるやつだ。
「はいはい、友人の嵐山ねこクンが何の用だい?」
「どこか引っ掛かるが。用事っていうか、あいつだよ、あいつ」
ねこは左前方を指差す、そこにはヒーターと枕を家から持参する女子生徒の席だ。今も枕に突っ伏して眠っているが。
「あいつって、鮫口さん?」
鮫口絆、このしがない公立中学の一種の偶像。
と、いっても周りが言っているだけで本人は、気付いていないだろうが。
ねこはどうやら彼女に興味があるようだ、僕としては今更?といった感情を抑えることは出来ないが。
「眠り姫。授業中に枕を敷いて寝ることを許可された唯一無二の生徒。あのヒーターだっていつからあそこに置かれていたのか、はたまた家から持ってきたのかすら不明、神秘だ」
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