黒井契は何もしない

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なにやら、よく分からないことを語り続ける嵐山だったが、一言で言うなら「鮫口絆と仲良くなりたいが、良い方法はないだろうか」ということらしい。   熱苦しいなぁ。なんで今更鮫口絆なんだよ、彼女が稀に見る美貌の持ち主であることは認めるが。止めとけって言うのも面倒臭い。   「筋肉馬鹿なんだから自慢の腹筋でも見せて『僕と筋トレしましょう』とでも言ってこい」   そう外を見遣りながら言ってやった。するとねこは、よし!とばかりに立ち上がって鮫口絆の方へ歩いていく。   ホントにやる気か?知らないぞ僕は。魔女に毒林檎を食べさせられた白雪姫の如く眠り続ける鮫口絆には七人の小人がいるという話だし。   まぁ誰が来てもねこに殴り合いじゃ勝てないだろうけど、さ。   ねこは何やら自慢の筋肉を鮫口絆の前で披露してはいるが鮫口絆は起きているのかも危ういだろう、いや、確実に寝ている気がする。   鮫口絆、ねこも先程言っていたように枕やらヒーターやら彼女が寝るために持ってきたとしか思えないグッズを教師達は黙認状態である。   彼女の親があの桶風商事の専務であり、教師に圧力をかけているなんて荒唐無稽な噂まで流れている。
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