黒井契は何もしない

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「愚問!この腕は、愛する人を守るためにあるんだよ。他の人の分はないさ」   「今、その候補から徹底的に無視をくらっていた気もするが」   自分の世界に浸り始めたねこは放っておこう。   もうすぐ授業が、始まるし。     その後、授業が始まった後も鮫口絆は眠り続け、六限のラスト二十分まで目を覚ますことはなかった。   そして、明くる日の昼休み。   「完璧な作戦を考えた!」   今日も扉は開けっ放しで、僕と鮫口の席くらいしか、温かい場所はないはずなのだが、恐らく僕の席より熱苦しい男がいた。   「久しぶりだな、完璧な作戦って、えっちゃんを思い出すよ、一度も完璧だったことはなかったけど」   不不不と同じように僕の幼稚園時代を振り回した少女、瞬絵里。   今となれば、楽しい思い出と思い込むことだって可能だろう。   「いや、えっちゃんの作戦なんかよりよっぽど完璧だ」   「そもそも何の作戦?」   「何いってんだよ!鮫口絆と仲良くなろう作戦ぱーと2だよ、昨日のお前の作戦は大失敗だったからな、俺が作戦を考えてきた」   「そうか、じゃあ頑張ってこい、僕は眠いからちょっと寝る」
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