黒井契は何もしない

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僕は鮫口のように、学校に枕を持ってくるような、ぶっ飛んだ人間ではないので、普通に腕を枕として寝ようとした。   「この作戦にはお前も入ってるんだよ」   僕の学生服の衿を掴んで、無理矢理持ち上げるねこ。持ち上げられている僕の方が猫っぽい。   「いいか、鮫口絆は起こされるのが嫌いだ、授業中だろうがなんだろうが彼女を起こして無事であったものはいないという噂だ」   まぁ確かに。僕は持ち上げられたまま鮫口の席を見る。   濃い紫の枕を頭の下にして幸せそうに寝ている。僕としては普通、女の子が寝ていると魅力は半減なのだが鮫口絆だけは魅力が増大するのだ。   まぁあの寝顔も彼女を起こさない理由なのだろう。ずっと見ていたいもの。   「だから黒井契君!君には彼女を叩き起こしてもらいたい!!」   「……はぁ?なに言ってんだ?鮫口絆を起こしたら無事じゃ済まないって自分で言ってたじゃないか」   「だからだ!だからこそクロが起こすんだ、そうすると鮫口は怒るよな」   まぁ確かに、頷く。   「やっぱりさぁ女の子って守ってくれる男に惚れるものだろ?」   急に話が変わったな、まぁそんなもんかもな。頷く。
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