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「答えは出たか?」
桜を見たまま司が尋ねた。
「先生はどう思ってますか?先生も考えたんでしょう?」
「ああ、僕の答えを聞くか?」
ピタリと立ち止まって美里は司を見上げた。
司もそれに合わせて足を止める。
2人の視線が交錯する。
司の瞳は、静かで揺るぎない。
もうその心は決まっているようだった。
司が答えを出す。
美里はその目に耐えられなくなって司の口に手を当ててその先を遮った。
「怖い…。」
もう会わない、そう言われて頷けるわけがない。
ただの生徒としてなんていられない。
「待って下さい。」
美里が苦し気に言うと、司はわずかに瞳を緩めて美里の手をどかした。
「待たない。」
身体がグイと引寄せられる。
「え!?先生!?」
びっくりする間もなく気付けば目の前に司のネクタイがあった。
(抱き締められてる、私…?)
優しく、だけど決して逃げられない強さで司の腕が美里を捕らえていた。
煙草の匂いに包まれる。
頬に胸が当たる。
(何?なんで?)
わけもわからず美里は腕の中で体をこわ張らせた。
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