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「これが僕の気持ちだ。」
司のささやくような声が耳元で聞こえた。
(先生の気持ち?)
自分の爆発するような心臓の音に混じって司の心音が聞こえる。
その音が少しだけ早い気がして、美里はこわ張る体を動かして腕の中から司を見上げた。
切ないほどまっすぐ美里を見つめる瞳。
逸らすことなんて絶対できない。
「麻生。僕を信じて2年待ってみないか?」
息が止まる。
今なんていった?
聞き間違いなの?
「僕にはこれ以上の言葉は、やはり言えない。それで不安にさせることがこれからもあるかもしれない。…でも君だけだから。僕が大切にしたいと思うのは君だけだから。…卒業まで、待ってみないか?」
司の腕が弱まる。
美里の意思を確認するために。
離れていってもいいように。
後は美里の自由だと無言で言われて美里は司のスーツの襟をギュッと掴んだ。
離さない。
離れない。
それが美里の意思だから。
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