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恐怖のベーコン
2002年、秋。
肌寒い風が日本列島を覆い尽くしていた時期の話しである。
とある町のとある学校の生徒、T君は大人しい小学3年生である。
その性格から彼はイジメられていた。靴を隠されたり、靴箱にグラタンが入れられたり、靴のかかとの所に『たけし』と書かれたりして、心の中は湿ったエロ本より荒れ果てていた。
いつものように学校へ来たT君。靴箱の中には1足の靴と焼きたてのベルギーワッフルが1個だけであった。
「またか、今度は何処に隠されたんだろう…」
もちろんT君には心あたりがあった。伊達に12年間靴を隠されてきたわけではない。
案の定、靴はすんなり見つかり安心したT君は上履きに足を……
この時、彼の運命の砂時計は止まった。
足元に違和感を感じる。
心臓の鼓動が早くなる。
何かに捕われたような感覚がT君を焦らせる。
靴を脱げばいいんだ。
しかし、手がもつれて思うように動かない。
T君の額からはおびただしい量の――
――汗。
どうにか靴を脱いだT君は息を切らせていた。
しかし彼は見てはいけない物を網膜へ焼き付けてしまった。
靴の中にべったりとくっついている赤い赤い――
ベーコンを……
T君はその日の午後に遺体で発見された。
―――3日後
イトコのM君は火葬されたT君の骨を拾っているときに見てしまった。
火葬されたT君の足元にあった焼けたベーコンを……
―――――終
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