一章:暴君ハバネロ

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とりあえずコンビニで食料を用意する事にした。   先ずは、メモに書いてあった酢ダコを取った。 「やっぱりこれだろ?」 俺はスナック類の一角にある後光輝く漆黒と真紅の袋を手に取った。それに触れた刹那、見えた。光り輝く未来が見えたのだ。真紅の文字にはこう書いてあった。 【暴 君 ハ バ ネ ロ】 俺の目は錯覚を起こした。 【爆 走 バ バ ネ 申】 爆走婆神 全ての世界の人間がババァと化した。 嗚呼、ババァ、ヴァヴァ- 婆が神なら俺はガッデームになる。 とりあえず、光り輝くババァを右手に、酢ダコを左足に持って、他の食料を買いに走った。 ―――………   ジャックナイフ・爆走婆・酢ダコ・充電器・懐中電灯・ハイチュウ グレープ・ビーフジャーキー   「これだけあれば、十分だろ」 とりあえずレジに全てを置く。その時だった ジャージ姿の詩織が店内に入ってきた。そして、互いに目が合ったのだ。 互いに目が合ったまま数秒間過ぎた。 この静寂を切り裂いたのは俺だった。 「よぉ……お前も?」   「うん…猪狩君も?」 少し俺の顔が火照ってる様だ。 「うん」 空気を読まない店員が言葉を放つ。 俺的にはタイミング良かったと思うけど 「2680円なります。」 俺は近くにあった、缶コーヒーを二本取って 「これもお願いします」   「2920円になります。」     俺は外で缶コーヒーを飲んで詩織を待った。 意外と早く詩織は選び終わり俺は缶コーヒーを渡した。 「ありがとう」 笑って受け取ってくれた。可愛い…と惚気ては、いかん、いかん。 「明日は楽しみ?それとも怖い?」 何気無い質問を言ってみる。 「……ちょっと怖いよ…けど、楽しみかも」 意外な返答だった。 「楽しみ?」 口から咄嗟に出た言葉 「だって、何だか5人でそんな事が出来るのは最初で最期だから……なんか悲しい事言ってごめんね。」   「まぁ確かにそうだな、初めてだよな。」   「猪狩君は楽しみなの?」 君がいるから……なんて言わない。 実際は、明日は君に告白するから、正直怖いかな。 ……俺は詩織が好きだ。 向こうはどう思ってるか知らないけど。 中学入ってからずっと好きだ。 あの温厚な性格と誰にでも隔たり無く接する事が出来る彼女を俺は、憧れていた。
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