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兆し

麻生莉真。

学校では生徒会副会長の任に就いているが放課後は校則違反であるアルバイトをしている。

成績は並。とりたてて容姿がいいわけでもなくそれまで付き合った男は１人ですぐに別れている。

人当たりは悪くなく友人も多くはないが少なくもない。ただし……――

「性格に難あり、と」

莉真は自分自身を見つめなおし苦笑する。

夕方の街中は学生が多く仕事を終えた大人達の車で道路が埋め尽される。

自転車を走らす莉真には風が当たり容赦なく体から熱を奪っていく。

「寒っ………」

１０月も数日を残し秋も終わろうとしていた。