兆し

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「おはようございまーす!」 バイト先に着いた莉真は元気よく挨拶をした。他のバイトのコ達もにこやかに挨拶を返してくる。 莉真のバイトはファーストフードの接客。高1の秋から始めて今ではバイトの中でも上に立つ程の人間になっていた。他のバイトのコ達とも仲が良く、何より莉真は接客の仕事にとてもやりがいを感じ楽しんでいた。そう、莉真にとって学校よりバイトの方が本当の自分を出せる場所だった。 学校の制服からバイトの制服に着替える。今まで死んでいた心が生き返る。髪をまとめ休憩室を出てカウンター内に入る。 店のドアを子連れの親子が開けた。莉真は背筋を伸ばし、笑顔を向けた。 「いらっしゃいませ!!」 莉真にとって本当の意味で一日が始まる。
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