兆し

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「……疲れた」 莉真はボソッと呟きながら休憩室に向かった。時刻は21時。バイトを上がる時間だ。 夜のファーストフードは忙しい。仕事帰りの社会人や学校帰りの学生が来る為だ。 莉真は休憩室のドアを開けた。すると、マネージャーと2人の人間が居た。マネージャー以外の人は見ない顔だった。誰?と思っていると2人の内の1人が声を掛けてくる。 「お疲れ様」 私も返事をする。 「お疲れ様…です」 誰だろうと思っているとマネージャーが口を開いた。 「他店のバイトのコ。2人ともマネージャーだよ」 「あぁ、他店の…」 なるほど、と思った。 1人は確かにマネージャーっぽい。結構年上そうだった。 しかしもう1人の声を掛けてきた方は年上には見えない。 するとまたマネージャーが口を開く。 「市川と片瀬だ。で、こっちは麻生、ウチでお客様係をやってる」 年上に見える方が市川さん、喋りかけてくれたのが片瀬さん、と頭の中で反芻する。 と、片瀬が莉真を見る。 「麻生ね、ヨロシク」 片瀬が笑った。笑顔は更に幼く、ますます年上には見えなかった。
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