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気付けば私は恋愛から程遠い所にいた。
私の恋愛感情はただ一度の別れで完全に消えてしまった。
男といても生まれるのは恋や愛ではなく器だけの関係。
都合良く振り回されて、遊ばれて。でもそれが今の私にはとても楽で。
知らない内に私は自分を遊びの対象として見てくれる男ばかりを選んでいた。
真剣な付き合いを望むような男は体が勝手に拒否して適当にあしらう様になっていた。
シャワーを浴び、風呂場を出る。ベッドではまだ男が寝ていた。
「ちょっと!私もう帰りたいんだけどさぁ」
すると男が腕をつかみ私を布団の中に引きずり込む。
「……元気だなぁーもぅ」
そうして男は快楽を得ながら楽しむ。
私はそれを冷めた目で見る。心の底で馬鹿な男と見下しながら男が望むように、男の気の済むまで相手する。
でも脳裏に浮かぶのはいつだって別の男の顔。
私が本気で愛したただ1人の男。
『アンタのせいで私は…』
心の中で呟いた。
頭の中で反芻する。あの頃の幸せだった私、その記憶を――。
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