【桜の公園で】《雲雀・切》

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外に行ったら何故か君は何も話そうとしなかった。 何なの? 君から帰ろうって行ったくせに… ああ…僕も何だかおかしい 何時もならこんな事ぐらいでイライラなんてしないのに 寧ろ清々するって思っている筈なのに そう思っているうちに見慣れた公園に着いてしまった。 何時も君と別れる道―――― 「…じゃあ…あたしこっちだから」 君は何時ものように僕に言う。 だから僕も何時ものように軽く 『そう』 と返した。 何時もと同じな筈なのに 君は変わらず切なげで 僕にいつもと違う 『じゃあね』 と呟いた。 ねぇ どうして今日は 『またね』 って言わないの? 何時もは 『またね、また明日』 そう言ってくれるじゃない… まるでもう ―会えないみたい― そんな言葉が僕の頭を過る イヤダヨ イカナイデ そう思っても僕のプライドだろうか 僕はそれを口に出そうとはしなかった。 僕は何も言わないで 君はそんな僕を見て苦笑して そのまま僕に背を向けて歩き出す 僕は桜の降り注ぐ公園を歩く君の後ろ姿を ただ呆然と見ていた それが君との 最後の記憶…… .
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