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月の光が中条の顔を優しく照らす。
そうだったんだ……。
中条も同じ気持ちだったんだ……。
俺が気がついてなかっただけか……。
「矢田部君?誕生日プレゼント何が良い?」
「何でもいいよ」
段々と中条との別れが近付いてきた。
「そう言われると困るんですけど?」
中条は小さく笑った。
「俺は中条からもらったものは何でも嬉しいよ」
中条は顔が赤くなった。
「もう何言ってるの?恥かしいじゃない!」
中条は俺の肩を叩いた。
中条の照れてる顔もやばい。
また沈黙が続く。
別れの時が近付いた。
手を離したくない。
ずっと手を繋いでいたい。
だが時は残酷だった。
「矢田部君の手……。大きいね!また繋ごうね?」
中条は自分から手を離し笑顔で手を振った。
「バイバイ……。誠君」
鈴虫が淡々と鳴り響く中俺は中条が見えなくなるまで立ち尽くしていた。
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