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青葉(M)
「見晴らしが良いといえば、良いかもしれないけれどローカル列車がバスのように走る田舎に近い街。建物は洋風が多くて気づかなければまるで違う世界みたいだ。岩のてっぺんとも言えるような場所で、都会へ行くにはぐるぐると線のひかれた列車が三時間かけて下る。ぐるぐると回るものだから、あれはかなりキツかった。今では二人乗りロープウェーで下る事も出来るらしい」
美奈
「おにーちゃん、荷物運び手伝ってよ~!」
葉子
「美奈、青葉はまだ荷物運んだりは出来ないわよ。お母さんと美奈で頑張りましょう」
美奈
「やぁーだぁー!」
青葉(M)
「風。風と、鈴」
美奈
「でも、どうしてこっちに決めたの?病院通えないよ~?」
葉子
「青葉はもうほとんど治ってるから、空気の良いところで過ごせばいいのよ。ほら、運んで運んで」
青葉(M)
「住宅街より更に高い丘の上から、鈴がチリンチリンとなる度僕は───心臓が胸を打ちていく。彼女が僕を呼んでいるのかもしれない、でも約束まで僕はその場所へいけないから」
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