1323人が本棚に入れています
本棚に追加
「…え?…パンツ?」
真由美は自分の状況を確認して慌てている。顔が茹で蛸みたいに真っ赤だ。
「立てるか?」
「…うん。………いっ!」
真由美は立ち上がろうとして、また転びそうになった。足首でも捻ったのだろうか?
「大丈夫か?」
「…うん。大丈夫」
「まったく。……ほらっ!」
俺は、真由美の前でかがんだ。
「乗れよ。保健室まで運ぶから」
「だ、大丈夫だよ。歩けるよ」
だぁー!恥ずかしい!!
「ふらふらしながら言っても説得力無いぞ。暑いんだから早くしなさい」
「…それじゃあ。えと、お、お邪魔します」
ゆっくりと背中に真由美の重みがやってきた。真由美は俺が思っていたよりも、軽い。ちゃんと飯食ってるのか?
久々におんぶというものをやったが、やってみると恥ずかしいものだ。
日頃こんなに他人に密着する機会なんてそうそうないし、ましてやそれが女の子ときた日にゃ緊張しないほうがおかしい。
「…なぁ、真由美」
何か会話をしないと間が持たない。
「なぁに、優君?」
「お前さ、……ちょっと太った?」
俺は『ビキッ!!!』という空気が凍る音を聞いた。
「……優君?……なにか言った?ごめんね聞き取れなかったの。ねぇもう一回言ってくれる?」
さっきまでの暖かかった空気が殺気に変わっている。感情を押し殺した声が余計に怖い。
最初のコメントを投稿しよう!