あるいは選択肢という名の可能性

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「…え?…パンツ?」  真由美は自分の状況を確認して慌てている。顔が茹で蛸みたいに真っ赤だ。 「立てるか?」 「…うん。………いっ!」  真由美は立ち上がろうとして、また転びそうになった。足首でも捻ったのだろうか? 「大丈夫か?」 「…うん。大丈夫」 「まったく。……ほらっ!」  俺は、真由美の前でかがんだ。 「乗れよ。保健室まで運ぶから」 「だ、大丈夫だよ。歩けるよ」  だぁー!恥ずかしい!! 「ふらふらしながら言っても説得力無いぞ。暑いんだから早くしなさい」 「…それじゃあ。えと、お、お邪魔します」  ゆっくりと背中に真由美の重みがやってきた。真由美は俺が思っていたよりも、軽い。ちゃんと飯食ってるのか?  久々におんぶというものをやったが、やってみると恥ずかしいものだ。  日頃こんなに他人に密着する機会なんてそうそうないし、ましてやそれが女の子ときた日にゃ緊張しないほうがおかしい。 「…なぁ、真由美」  何か会話をしないと間が持たない。 「なぁに、優君?」 「お前さ、……ちょっと太った?」  俺は『ビキッ!!!』という空気が凍る音を聞いた。 「……優君?……なにか言った?ごめんね聞き取れなかったの。ねぇもう一回言ってくれる?」  さっきまでの暖かかった空気が殺気に変わっている。感情を押し殺した声が余計に怖い。
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