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俺は郷田の脇を抜け保健室に向う。
「櫻木を保健室に連れて行ったら、急いで体育教官室まで来るんだぞ」
すぐに後からおまけの台詞が飛んできる。
やっぱり、世の中そんなに甘くないか…。
それだけ言うと郷田先生は門の鍵を閉めて教官室に戻って行った。
「ごめんね優君、私のせいで…」
申し訳なさそうな声が背中から聞こえる。
「ばぁーか。お前は自分の足のことを心配とけばいいの!」
俺はそれだけ言って、真由美を保健室まで送った。
足の怪我は保健室の先生が言うには軽い捻挫で、2、3日湿布でも張っておけば生活になんら支障はないとのこと。
よかった、よかった。
「…だからおんぶはいいって言ったのに」
真由美がぼやいている。
「…おんぶって?なになに~、なにかあったの~?」
保健室の静(しずか)先生がニヤニヤした顔でこちらを見てきた。
「あっ…やべ、郷田が待ってるんだった!」
静先生の、興味津々な視線をかわしながら早口でそう言うと、俺は郷田の待つ体育教官室に向かった。
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