あるいは選択肢という名の可能性

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「あぁ、もう抱き締めてやりたいぞ。この野郎っ♪」 「なっ!?ななな、なに恥ずかしいこと言ってるのよっ!バカじゃないの!!」  …ん?なんでお前が赤くなってるんだ? 「やっぱり、『オジさん』を抱き締めるのって変なのかぁ…?」 「…『オジさん』?」 「うん、『オジさん』。そうか、変かぁ~。黒森なら分かってくれると思ったんだが…」 「…あっ、えぇ、変よ!おかしいわ!残念だけどいただけない発想ね」 「同じコレクターでも愛し方は違うんだな。うむ、勉強になる」  コレクターの世界はやはり奥が深い。  そんな会話をしているとふと気がついた。 「…あれ?そういえば、なんで急に『プロトタイプオジさん』をくれたんだ?黒森だって集めてただろ?」 「あぁ、それね。余ったのよ」 「余った?『プロトタイプオジさん』が?」 「ええ、だって私もう保管用、鑑賞用、愛玩用と既に3つ持ってるもの」 「…すげぇな、黒森」 「すごいのは、怒られたばっかりで騒いでるお前の方だ!馬鹿もん!!」  『ゴチン!』という音と共に、頭に激痛が走った。 「いでぇ~!!」  後ろを振り返ると、先ほど俺を説教していた郷田が仁王立ちで立っている。   気がつけば授業は数学から体育に移行していた。 「指導が足りなかったらしいな。こい!再教育だ!他の奴らはちゃんと自習しとくように!!」  郷田はそう言うと、俺の襟をつかみ教室を出て行く。 「あの…、つかぬことをお聞きしますが、私はどちらにつれて行かれるのでしょうか?」  引きずられながら聞くと、郷田は『なに当たり前のことを聞いてるんだ?』という顔をして答えた。 「安心しろ、説教部屋だ」
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